連載
Series
日本には、自然遺産と文化遺産を合わせて全部で26の「世界遺産」があり、おのおのが美しい景観と独自の文化を誇っています。
それらを旅しながら、日本の魅力を再発見してみませんか?
今回ご案内するのは、福岡県にある「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」です。
「神宿る島」
宗像・沖ノ島と
関連遺産群[福岡県]
世界遺産協会 常任理事
片岡 英夫さん
世界遺産検定マイスター1期生、初代海外·旅行地理名誉博士、国立公園検定エキスパート1期生。道の駅オライはすぬま観光大使。世界遺産関連の書籍監修多数。
Index
Scene 01
福岡県・「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群とは
島を崇拝する伝統が
古代から現代まで続く
沖ノ島(おきのしま)は古墳時代から平安時代にかけて、日本と朝鮮半島・大陸を結ぶ海上交通の要衝で、そこでは航海の安全を願う祭祀が行われていました。その遺跡と奉献品がほぼ手つかずの状態で残る「神宿る島」である点、そして、島を崇拝する伝統が今日まで継承されてきた点などが評価され、2017年に世界文化遺産となりました。構成資産は、沖ノ島(宗像大社沖津宮/むなかたたいしゃおきつみや)、小屋島(こやじま)、御門柱(みかどばしら)、天狗岩(てんぐいわ)、宗像大社沖津宮遙拝所(おきつみやようはいしょ)、宗像大社中津宮(なかつみや)、宗像大社辺津宮(へつみや)、新原・奴山古墳群(しんばる・ぬやまこふんぐん)です。
Scene 02
専門家が語る「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の魅力
厳格な禁忌により、
この島は守られてきた
沖ノ島には禁忌があります。島で見聞きしたことは口外してはならない、島からは何も持ち出してはならない、女人禁制など。世界遺産登録後は一般人の上陸が全面禁止となり、現在は遠く離れた大島などから沖ノ島を拝むしかありませんが、近づけない存在だからこそ、その島影はより神々しく見えます。宗像三女神が祭られた沖ノ島の沖津宮、大島の中津宮、九州本土の辺津宮が、ほぼ一直線に並ぶ位置関係である点も神懸かっています。
沖ノ島で発掘された奉献品の金銅製龍頭。禁忌にもとづき、こうした貴重な品々が長年守られてきたことが、日本人の信心深さを物語る(所蔵先「宗像大社神宝館」)
Travel Route
「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の楽しみ方
一日でめぐる、
理想のルート
AM10:00
宗像大社中津宮
宗像三女神の次女、湍津姫神(たぎつひめのかみ)が祭られている。縁結びの神
AM11:00
宗像大社沖津宮遙拝所
沖ノ島を遙拝する場。約50km離れているが、天気が良ければ島影が見える
PM2:00
宗像大社辺津宮
宗像三女神の三女、市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)を祭る。交通安全の神
PM3:00
新原・奴山古墳群
沖ノ島への信仰の伝統を育んだ古代豪族・宗像氏の墳墓群。41基の古墳がある
沖ノ島は上陸禁止のため、本土の神湊港から船で大島へ。大島は1周約15kmで、人が少なく信号もないため、潮風を感じながらレンタサイクルで周遊すると快適です。まずは中津宮で参拝。そして沖津宮遙拝所から沖ノ島を拝めば、その荘厳たるたたずまいに感動するはず。より沖ノ島に近づきたければ洋上参拝ツアーに参加する手もありますが、運行日が限られているので要注意。大島から本土に戻ったら、辺津宮でお参りしてから新原・奴山古墳群へ行きましょう。
Access & Information
アクセス・観光情報
- 場所
- 福岡県宗像市から福津市にかけての玄界灘エリアに点在
- アクセス
-
【大島へ行く場合】
JR博多駅からJR鹿児島本線に乗り、JR東郷駅下車。西鉄バスに乗り、神湊波止場で下車。海上タクシーか旅客船かフェリーに乗り、10分から25分で大島港渡船ターミナルに到着
- ベストシーズン
- 9月〜10月
- 周辺スポット
- 大島の風車展望所から眺める玄界灘も絶景。辺津宮近くの宗像大社神宝館には沖ノ島に奉献された国宝が多数展示されている
まとめ
年に一度、三女神が再会する日に――
今回の世界遺産を旅するなら9月〜10月がおすすめです。毎年10月1日には宗像三女神が一堂に会する「みあれ祭」が開催。沖津宮の田心姫神と中津宮の湍津姫神を、大島から市杵島姫神の祭られている辺津宮へ運ぶ様子を遊覧船などから見学できます。それに先立ち毎年9月上旬には大島で「沖津宮神璽奉遷祭(おきつみやしんじほうせんさい)」も開催。田心姫神を中津宮に迎え、みあれ祭までの間、本殿に祭ります。そうした特別な期間に、この地を訪れてみては。
写真提供/「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群保存活用協議会(https://www.okinoshima-heritage.jp)
Text by Keita Okabayashi
Design by Takanobu Higuchi
Edit by Hajime Sasa(Rhino)