すまいとくらしに彩りを fureai

ふれあい 2026年7月号 Vol.132

特集 Special feature

庭のあるくらしの
楽しみ方

PART01

ガーデニングがくらしを
豊かにする理由

花や緑に囲まれた庭のあるくらしは、毎日に癒やしや彩りを与えてくれます。都心の庭で、植物をめでる生活を送っている良原リエさんに、ガーデニングの魅力を語ってもらいました。

ガーデニングがくらしを豊かにする理由 イメージ画像①
ガーデニングがくらしを豊かにする理由 イメージ画像②

音楽家・文筆家

良原 リエさん

アコーディオンやトイピアノ、トイ楽器の奏者としてEテレ『いないいないばあっ!』、映画『ターシャ・テューダー 静かな水の物語』など幅広いジャンルの演奏、制作に関わる。植物や生き物を愛するガーデナーでもあり、都会の住宅街でビオトープガーデンを実践。著書に『食べられる庭図鑑』『もういちど育てる庭図鑑』(アノニマ・スタジオ)など多数。https://www.tricolife.com/

良原 リエさん

01

たくましく育つ植物から
元気をもらえる

実家が今の家のような庭付きの一軒家で、父が植物や野菜を育てるのを見て育ちました。だから土のない生活というのが想像できなくて、1人くらしも庭付きのアパートからスタート。そうしたら自分だけのガーデニングが楽しくて小さな庭では物足りなくなってしまって(笑)。20代で庭付きの一軒家に引っ越しました。その後も何度か住まいを変えましたが、「庭があること」は欠かせない条件になっています。

今の家は8年目。実験を重ねながら植物を増やしていき、木や花、食べられる植物が混在しています。庭の中でそれぞれに合った場所を探して植えているので、お世話は最低限。「手をかけ過ぎない」ことがモットーです。

特集 イメージ画像①
特集 イメージ画像②
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庭を育てていく中で、私が一番大切にしているのが「観察すること」です。毎日チェックしているとこぼれ種から芽が出ているのを見つけたり、アスパラガスが一日でぐんと伸びていたり、日に日に色づいていくグミの実にワクワクしたり。虫たちにもたくさん出合えます。例えば、クモの巣ってクモの種類によって全然違うんです。芸術的でとってもきれいな巣に出合えることも。 そんな日々の発見も楽しみの一つです。

植物って人と違って移動できませんよね。しかも私の庭はほったらかしがベース。それでもたくましく生きている植物に元気をもらえるんです。台風のときなどは風にあおられながら、細い茎でもしっかり立っているのを見ると感動してしまいます。人生にもつらいこと、嫌なことありますが、どうにか乗り越えていけばより強くなれる。そう思えるようになったのも植物たちのおかげです。

02

ビギナーにおすすめ ! 
花がかわいい蜜源植物

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ペンタス:暑さに強く、星形の小花をたくさん咲かせます。ミツバチやチョウが集まりやすく、秋まで繰り返し花を楽しめます

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ペチュニア:白やピンク、紫の鮮やかな花が特徴。日本の蒸し暑い夏でも育てやすく、初心者向けの定番夏花

初心者の方におすすめなのが、かわいい花が咲く園芸品種です。園芸店や花屋さんなどで、その季節に合った品種や手軽なお値段で手に入れることができます。夏だったらペンタスやペチュニア、バーベナ、マリーゴールド、ジニア、ガザニア、千日紅など。冬はパンジーやビオラなどが代表的ですね。これらのいいところは、育てやすいことに加え、鮮やかな花にミツバチやチョウが寄ってきてくれること。近くにある野菜や果物の受粉もついでにしてくれるので、実つきが良くなります。

これらは日当たりの良い場所でよく育ちますが、水は毎日あげる必要はありません。鉢植えの場合、枯らしてしまうという原因のひとつは水のあげすぎ。特に日本の夏は湿度が高いため、土がずっと湿った状態になると、根が酸欠になり、根腐れを起こしやすくなります。土の状態を見て、表面が乾いたらあげてくださいね。

特集 イメージ画像⑥

ドラム缶のような大きなコンポスト(生ごみを堆肥に変える仕組み)。横に倒して転がすだけで、手間をかけずに分解が進みます

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小さなカートは座って作業するときに便利。夏は蚊が多いので、蚊取り線香がマストです

ガーデニングに最低限必要な道具はグローブとハサミ、シャベルです。ハサミはちゃんと切れるものがいいですが、あとは手持ちのものでも大丈夫。私が日頃使っている道具も、台所にあったものを再利用しています。お玉は子供が砂遊びで使っていたもので、土を移動させるのに便利。お皿は収穫した野菜やハーブなどをのせるときに使います。小さい鉢は土に返る素材でできていて、種蒔きに使っています。ある程度育ったら別の鉢に植え替えるか地植えにします。

コンポストはシンプルな不織布製を愛用しています。上部のチャックを開けて、生ごみと庭の落ち葉や土などを入れておき、量が増えたらそのまま熟成させます。スコップで混ぜるのは大変なので、コンポストごと横に倒してコロコロ転がしたり、向きを変えるだけで混ざるんです。力もいらないし、手も汚れないのがいいですよ。

03

たくさんの植物と生き物がくらす
“ほったらかしでも育つ庭”

特集 イメージ画像⑧

自然の山のように落ち葉が積もり、多種多様な植物と生き物が共生する庭。小さな虫たちにもたくさん出合える。右下の葉っぱの上にいるのはカマキリの子供

私の庭づくりのテーマは「自然に育つ庭」。日当たり、風通しなど、庭の中でも環境に違いがあります。一見雑多に見えますが、実はその植物に合う場所をそれぞれ探して植えてあるんです。そうすれば手をかけなくても自然と元気に育つようになります。草むしりも極力しません。雑草の根は土の状態を良くする効果があるからです。気になる場合は上の方だけ切って、そのまま土の上に。枯れ葉も落ちたままにしておくと土壌生物が有機物を分解し、それをさらに微生物が分解して、栄養たっぷりの軟らかい土になります。

もう一つ大切にしているのが植物と生き物の多様性です。嫌われ者になりがちな虫も、できる限り駆除しません。例えばアブラムシがついたとしても、そのうち天敵が現れ、その天敵を食べる別の虫がやって来て───というように自然の循環が生まれます。2年くらい前に庭の植物の数を数えたら200種類以上ありました。いろいろな種類のハーブや食べられる植物を、観察しながら育てるのも楽しいんです。

庭は私にとって学びの場。植物や生き物がどんなふうに育ち、変化して、人生を全うするのかを観察することで、あらゆる物事を優しい目線で見られるようになったと思います。虫が苦手という方も多いと思いますが、まずは名前を調べてみてください。何度か調べるうちに、その虫に対するハードルが下がっていることに気づくだろうと思います。

良原さんの
ガーデニングの楽しみ方
3つのポイント

POINT 01

“観察すること”で日々の発見を楽しむ

POINT 02

お手入れは最小限で自然に任せて育てる

POINT 03

植物と生き物の多様性を大切にする

Photo by Keiko Sugawara
Text by Yoko Toyoizumi
Design by Takanobu Higuchi
Edit by Hajime Sasa(Rhino)

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