連載
Series
日本には、自然遺産と文化遺産を合わせて26の「世界遺産」があり、おのおのが美しい景観と
独自の文化を誇っています。それらを旅しながら、日本の魅力を再発見しませんか?
今回ご案内するのは北海道の「知床」です。
知床[北海道]
世界遺産協会 常任理事
片岡 英夫さん
世界遺産検定マイスター1期生、初代海外·旅行地理名誉博士、国立公園検定エキスパート1期生。道の駅オライはすぬま観光大使。世界遺産関連の書籍監修多数。
Scene 01
北海道・知床とは
海と陸の生態系がつながり、
絶滅危惧種が生息する地
知床は、流氷がもたらす特異な生態系と生物の多様性が評価され、2005年に世界自然遺産に登録されました。植物プランクトンを含む流氷が春に溶けると、それをエサに動物プランクトンが増殖。これを小魚が食べ、小魚をエサに回遊魚が育ち、遡上した回遊魚から哺乳類が栄養を取る。そんな海陸一体となった生態系です。また、北半球で世界最南端の流氷接岸地なので、北方系と南方系の動植物が混在。オジロワシなどの絶滅危惧種も生息しています。
Scene 02
専門家が語る知床の魅力とは
流氷を踏み締めながら、
神秘とロマンを体感しよう
2月から3月中旬の知床でぜひ体験してほしいのが流氷ウォークです。白とグレーしかないモノトーンの視界の中、キュウキュウと音を立ててひしめく流氷の上を歩くと神秘的な雰囲気に浸れます。知床に接岸する流氷は主に、ロシアの大河・アムール川から北風に乗って流れ着いたもの。陸と海が一つになった様子を目の当たりにすると、「このままユーラシア大陸まで歩いていけるんじゃないか」という壮大なロマンを感じることもできます。
流氷ウォークは必ず、ガイド同伴で行うこと。氷と氷の隙間の海にドボンと浸かることも体験可能
Travel Route
知床の楽しみ方
一日でめぐる、
知床の理想のルート
AM 6:30
流氷ウォーク
複数の観光会社がガイド付きツアーを用意している。個人ガイドに依頼するのもOK
PM12:30
知床五湖スノーシューイング
冬季は一般の立ち入りが禁止されている知床五湖を、許可を受けたガイドと共に歩く
PM4:00
夕陽台で夕日を見る
オホーツク海に沈む夕日を展望できる名所。積雪が少ない日の日没に間に合ったらぜひ
PM6:00
ウトロ温泉に浸かる
温泉街にはホテルや旅館が点在している。
冬季の露天風呂の営業は各施設に確認を
午前中に流氷ウォークを楽しんだら、午後はスノーシューイングを体験してみましょう。凍結した知床五湖の湖面や、積雪数メートルの原生林などを歩く冬限定のアクティビティ。白銀の知床連山、キツツキの巣穴、動物の足跡などを観賞できるほか、野生のキタキツネにも出合えるかも。その後夕陽台で、流氷に覆われた白い海が黄金色に染まる絶景を拝んでから、一日の疲れを癒やすべくウトロ温泉へ。これが冬の知床を満喫できるコースです。
Access & Information
知床へのアクセス・観光情報
- 場所
- 知床半島の中央部から先端の知床岬にかけての陸地と、その周辺の海を含む約71,100haの地域
- アクセス
- 女満別空港からウトロ温泉バスターミナルまで、直通バスの「知床エアポートライナー」で約2時間
- ベストシーズン
- 1月下旬〜3月上旬
6月〜8月
- 周辺スポット
- 博物館 網走監獄では囚人と同じ監獄食をランチで提供。冬のサロマ湖ではスノーモービルを体験できる
まとめ
知床を旅する際の心得
今回紹介した流氷ウォークやスノーシューイングなどを体験すれば、知床の景観の美しさと迫力に感動するはず。この大自然、そして希少な生態系を維持するためにも、私たちにはマナーが求められます。アクティビティに興じる際は規定のルートから外れない、ゴミのポイ捨てや動物への餌付けはしない、などです。「人間の世界に自然があるのではなく、自然の世界に人間がお邪魔している」そんな気持ちで観光し、世界遺産を守りましょう。
知床のツアーなどに関する情報は、知床斜里町観光協会のHP(https://www.shiretoko.asia)で確認を
Text by Keita Okabayashi
Design by Takanobu Higuchi
Edit by Hajime Sasa(pole)