特集
Special feature
いま温泉に惹かれる理由
温泉ジャーナリストが注目する、
癒やし系温泉
ひたすらに観光地を巡るせわしない旅ではなく、宿にじっくりと腰を据えて、温泉や料理といった心尽くしと向き合う「癒やし」に特化した旅を求める方が増えています。温泉ジャーナリストの植竹深雪さんに、癒やしをもたらす温泉地と温泉宿を5つ、教えていただきました。
栃木県
「下野の薬湯」として親しまれる板室温泉は、国民保養温泉地に指定される秘湯。豊かな自然に囲まれた環境そのものが、心身を健やかに整えます。ぬるめの湯は心臓や血圧に負担をかけず長湯できるため、泉質が持つ効能が、よりダイレクトに感じられます。
健康をテーマにした、
癒やされたい大人のための隠れ宿
那須連山の深い森の中にあり、約1,000年の歴史を持つ板室温泉の源泉かけ流しの良き湯が味わえる板室別邸リトリート
SPA和薬草。チェックインを終えると、まずはカウンセリングからスタート。癒やしのプロが自分では気付けなかった不調を読み取り、滞在中にどのような養生を行えばいいか、体に合ったプランを提案してくれます。
お料理は和の技術を用い自律神経を整えることに特化した養生食で、味も見た目も抜群。ほかにも、お灸や手技療法、焚火療法、選茶療法など、健康に導いてくれるプログラムが目白押しで、眠る前には瞑想動画をスマホで閲覧することができるなど、全てにおいて「訪れた人に、健康になって帰ってほしい」という優しい心が込められています。ぜひ連泊して、宿の魅力を全力で堪能してみてください。
板室別邸リトリート SPA和薬草 住所:栃木県那須塩原市板室841-14
愛知県
1,300年の歴史を持つ湯谷温泉は、古くから病気療養にも用いられた奥三河の名湯です。温泉は塩分が肌を覆うため保温性が高く、「熱の湯」とも呼ばれ、湯冷めしにくいのが特徴です。冷え性の改善が期待できるほか、肌がしっとり潤う美肌効果も感じられます。
薬膳懐石と万病に効く名湯で、
心とろけるひとときを
歴史と格調を感じさせる数寄屋造りの宿「はづ木」は、大人世代におすすめの養生宿。特筆すべきは、客室の美しさ。渓谷美を借景としたレトロな窓枠や、タイル張りの手洗い場など、どこを見ても絵になり、滞在する喜びが味わえます。宿でいただける食事は夕朝共に、健康増進作用のある「漢方薬膳懐石料理」。ここはブームが起こる前から薬膳に注目していて、さまざまな生薬を用いた、滋味あふれる美しいお料理が楽しめます。
温泉は「万病に効く」とうたわれてきた名湯・湯谷温泉の源泉かけ流し。貸し切りで入浴できるので、誰に気兼ねすることなく、思う存分リフレッシュできます。また、宿泊者は系列の「湯の風HAZU」や「はづ別館」のお風呂をめぐることができるので、ぶらぶらと湯めぐりを楽しみたい方にもおすすめです。
はづ木 住所:愛知県新城市豊岡字滝上45-1
鳥取県
日本屈指のラドン泉(放射能泉)である三朝温泉は、「三度朝を迎えると病が治る」と伝わる秘湯。微量の放射線により、免疫力を高める「ホルミシス効果」が期待できます。お湯に漬かるだけでなく、吸う・飲むという3通りの方法で心身を癒やすことができます。
日本屈指の希少なラジウム温泉を、
美食とともに堪能
革製品メーカーの『BARCOS』が営む三朝荘は、「誰にも会わない滞在」をコンセプトにした、養生とおこもりが同時に楽しめる温泉宿。アパレル企業が経営するだけあり、インテリアなどのしつらえが美しいのも特徴です。三朝温泉は高濃度のラドン含有量を誇るラジウム温泉で、その歴史は平安時代にまで遡り、古来より即効性がうたわれてきました。入浴する際は、浴室内に立ち込める湯気もしっかり吸って、体の中まで温泉効果を満たしていきましょう。
旬食材を盛り込んだシェフ渾身の創作料理の夕食が美味。朝ご飯にいただけるのは、発酵をテーマにし、腸活に特化したお料理の数々。薬膳の温やっこや具だくさんのおみそ汁、土釜で炊き上げた鳥取産米「星空舞」をいただけば、一日のエネルギーチャージも万全です。朝風呂を堪能し、おなかをすかせて食事会場に足を運びましょう。
BARCOS RYOKAN 三朝荘 住所:鳥取県東伯郡三朝町三朝847
宮城県
日本にある10種類の泉質のうち9種類がある鳴子温泉は、「東の横綱」と称される日本屈指の名湯です。静かな環境で心ゆくまで湯巡りを楽しめ、宿での「おこもりステイ」にも最適。サウナ完備の宿もあり、多彩な入浴法で心身を癒やせます。
9つのお風呂が出迎える、
美肌になれる素泊まり宿
旅館すがわらは、ナトリウム‐炭酸水素塩泉、ナトリウム‐硫酸塩・塩化物泉、そしてナトリウム‐塩化物・硫酸塩泉と、泉質の違う3つの自家源泉から湯を引く湯治宿。天然の保湿成分をサポートするメタケイ酸が豊富で、鳴子温泉の中でも特に「美肌に近づく湯」として人気があります。9つあるお風呂は全て源泉かけ流しで、入浴後のしっとりもっちりとした肌感がクセになること請け合い。運が良ければ「すがわらブルー」と呼ばれる、美しく青く光るお湯に出合うことができます(自然現象のため、必ず見られるわけではありません)。
この宿が「おこもり」におすすめの理由は、素泊まりができ、カジュアルに温泉を楽しめること。鳴子温泉街のお弁当屋さんやコンビニでご飯を調達するのも良し。飲食店で地元の味を満喫するのも良し。その後は宿にこもり、24時間いつでも入れる温泉を自分流に楽しむだけ。時間に縛られることなく効能抜群の湯を堪能しましょう。
旅館すがわら 住所:宮城県大崎市鳴子温泉新屋敷5
山形県
開湯930年余の歴史を誇る赤湯温泉は、体の芯まで温まり湯冷めしにくい「あたたまりの湯」が特徴。上杉家ゆかりの湯治場の風情と、現代の豊かな食文化が融合した魅力溢れる温泉地は、ゆったり寛ぐ「おこもりステイ」にぴったりの場所です。
客室で露天風呂を満喫。
蔵座敷に泊まるくつろぎ時間
全ての客室に源泉かけ流しの露天風呂が用意されている、「くつろぎ」に特化した山形座 瀧波。築400年の曲がり家や蔵座敷を移築した館内は、古き良き日本の情緒はそのままに、北欧家具を配するなど現代的な美を落とし込むことで、落ち着きとぬくもりのある空間へとリノベーション。どのお部屋を選んでも、ゆったりまったりとした「おこもり時間」を楽しむことができます。
赤湯温泉は、奥州統一の任を受けた源義綱が発見したとされる歴史ある名湯。泉質は含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉で、肌トラブルや湿疹、切り傷などに効能があります。塩分の働きで、体をしっかり温めるのも特徴です。何よりうれしいのは、山形新幹線赤湯駅からタクシーで5分というアクセスの良さ。シニア世代のお一人様旅にもおすすめです。
山形座 瀧波 住所:山形県南陽市赤湯3005
自分らしさを再発見できる
「プチ湯治」を楽しんで
古くから湯治場として栄えてきた温泉地での癒やしの体験は、自分自身を見つめ直し、未来の自分の糧となる時間が得られるもの。非日常を思う存分楽しんで、気分を新たに、日常を迎えてみませんか。
Text by Megumi Waguri
Design by Takanobu Higuchi
Edit by Hajime Sasa(Rhino)