ふれあい 2026年10月号 Vol.135

連載 Series

世界遺産でめぐる日本再発見の旅 World Heritage Japan メイン画像①

世界遺産でめぐる日本再発見の旅 World Heritage Japan

日本には、自然遺産と文化遺産を合わせて全部で27の「世界遺産」があり、おのおのが美しい景観と独自の文化を誇っています。
それらを旅しながら、日本の魅力を再発見してみませんか?
今回ご案内するのは、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の三内丸山遺跡です。

Vol.8

「北海道・
北東北の縄文遺跡群」の
三内丸山遺跡
[青森県]

日本地図 「北海道・北東北の縄文遺跡群」の三内丸山遺跡

世界遺産協会 常任理事
片岡 英夫さん

世界遺産検定マイスター1期生、初代海外·旅行地理名誉博士、国立公園検定エキスパート1期生。道の駅オライはすぬま観光大使。世界遺産関連の書籍監修多数。

Travel Guide 教えてくれたのはこの方 片岡 英夫さん
イメージ画像

復元竪穴住居

イメージ画像

大型板状土偶
三内丸山遺跡センター蔵/田中義道撮影

Scene 01

青森県・三内丸山遺跡とは

縄文時代の人々が
1万年以上暮らした地

北海道・北東北の縄文遺跡群は、1万年以上にわたり、採集・漁労・狩猟によって定住生活を続けた縄文時代の人々が残した遺跡群です。自然の恵みを持続的に利用し、高度な精神文化を育んだ、農耕以前の人間の豊かな生き方を今に伝える貴重な遺跡として、2021年に世界文化遺産に登録されました。北海道・青森県・秋田県・岩手県に点在する17の遺跡群から成りますが、中でも特に見どころが多く、今の季節に最適な青森県の三内丸山遺跡をここでは紹介します。

縄文時代の人々が1万年以上暮らした地 イメージ画像①
復元大型竪穴建物
三内丸山遺跡センター蔵/田中義道撮影
縄文時代の人々が1万年以上暮らした地 イメージ画像②
木の皮で袋状に編まれた約5,500年前の“縄文ポシェット”
三内丸山遺跡センター蔵

Scene 02

専門家が語る三内丸山遺跡の魅力

当時の生活や食文化を
歩きながら体感できる

三内丸山遺跡は日本最大級の縄文集落跡で、約5,900~4,200年前のくらしを「歩いて体感できる」のが魅力です。屋外の遺跡復元エリアでは、住居や大型建物などを見学可能。秋の青森は暑さが和らぎ、春の大型連休に比べると観光客も少ないため、遺跡内の広大な敷地をのんびり散策するのに最適です。屋内の展示施設では、出土した食べ物の骨や種子、調理の道具、祭祀に使われたと考えられる土偶などを通して、「くらし」と「祈り」の両面から縄文の世界に入り込めます。

当時の生活や食文化を歩きながら体感できる イメージ画像①
縄文時遊館内にある常設展示室「さんまるミュージアム」
三内丸山遺跡センター蔵/田中義道撮影
当時の生活や食文化を歩きながら体感できる イメージ画像②
竪穴建物の復元模型
三内丸山遺跡センター蔵

Travel Route

「北海道・北東北の縄文遺跡群」の三内丸山遺跡の楽しみ方

一日でめぐる、
理想のルート

AM9:30

縄文時遊館

三内丸山遺跡へは縄文時遊館から入る。遺跡や展示施設の見学は有料(一般500円ほか)

AM10:30

三内丸山遺跡

大型掘立柱建物跡、竪穴建物跡などを、ボランティアガイドが無料で案内してくれる

PM2:00

奥入瀬(おいらせ)渓流

渓流沿いには滝や巨大な岩が点在。コケと紅葉が織り成す幻想的な景色を楽しめる

奥入瀬(おいらせ)渓流 イメージ画像

PM3:00

十和田湖

鮮やかに色づいた山々と、神秘的なカルデラ湖との美しいコントラストが魅力

十和田湖 イメージ画像

PM4:30

酸ヶ湯(すかゆ)温泉

青森県の八甲田山麓に位置する、pH2.0以下の強い酸性硫黄泉が特徴の名湯

屋外散策遺跡の敷地内は大自然に囲まれており、10月は木々が紅葉に染まる美しい季節。心地よい秋風の中、復元された竪穴建物や高床建物を見学しましょう。屋内施設の縄文時遊館には、出土品が展示されているほか、土偶作りやヒスイを使ったアクセサリー作りなどの体験工房や、縄文時代の食生活にインスピレーションを得た特別メニューを味わえるレストランも。退館後は、奥入瀬渓流、十和田湖の絶景を堪能してから温泉で疲れを癒やすのがおすすめです。

Access & Information

アクセス・観光情報

場所
青森県青森市大字三内字丸山305
アクセス
JR青森駅から車で約20分、市営バスで約30〜40分。JR新青森駅から車で約10分。東北自動車道・青森ICから車で約5分
ベストシーズン
10月
周辺スポット
遺跡のすぐ隣には、遺跡の発掘現場から着想を得て設計された青森県立美術館がある。世界的なアートと縄文文化のエネルギーを同時に体感できる

まとめ

古代人の知恵に感動する旅

三内丸山遺跡の出土品の数々からは、縄文時代の人々が、クリや果実、魚など自然の恵みを活用して定住していたことがうかがえます。また、北海道や長野の黒曜石、岩手の琥珀などが発掘されたのは、当時から遠隔地と交流があった証拠で、土偶など祭祀の遺物は、豊かな精神世界がそこにあったことを物語ります。「電気も水道もないはるか昔に、人々がこの地で文化を築いていた」ということをまざまざと実感し、古代の人類の知恵に敬服する旅となることでしょう。

古代人の知恵に感動する旅 イメージ画像

三内丸山遺跡の復元模型
三内丸山遺跡センター蔵

Text by Keita Okabayashi
Design by Takanobu Higuchi
Edit by Hajime Sasa(Rhino)